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雨に歌う譚詩曲〜A rainbow after the rain〜
『雨に歌う譚詩曲〜A rainbow after the rain〜』
雨の降る日には君の命に出会う
冷たい雨の降る日。想い出す約束。4年前のあの日から、歩むことなき未来。
孝一が抱く心の傷跡、それを見続けた千夏の思い。新しく現れた彼女たちが、今までずっと押し殺されてきた『何か』を変えてくれる。触れ合うことで、彼女たちも変わる……。
ただ、感情をぶつけ合うだけでも良かった。立ち止まることだけはして欲しくない、と。雨が降ると、孝一は約束を想い出し、彼女に会いに行く。
『雨が降る日には、私に会いに来てくれますか?』
人世の詩は楽しいもので。時に震えるほどの喜びや、自分を見失うほどの悲しみを与えるもので。
雨音。静かな音色を背にしながら。命が続く限り、終わらない。悲しみに彩られた『雨に歌う譚詩曲』。
(パッケージ裏より引用)

総合:C シナリオ:C キャラ:C CG:D エロ:D 音楽:S

実はパッケのチープな印象に前々から惹かれてはいた。自分は電波もキチガイも鬱もおkおk、な人なのでそういった設定は全く気にならず。ワゴンでさくっと買いますた。

総括
 特に技量とか才能とかを感じる出来ではないのだけれど、スタッフが恐らくは、ギリギリの環境で必死に最善を尽くした、って空気が漂ってくる作品だと思う。ヒロインのうち三人は精神病を患っている設定になっているが、これを雨や主人公の過去と絡めて切なげな雰囲気を醸すことに成功してるね。ヒロインのキャラも(精神病の娘もそうでない娘も含めて)まあまあ立ってる。

 だが、それらはあくまでも雰囲気。実体を伴った切なさややるせなさが描けてるか、というとちょっとグレーだな。特にボリューム面でそれが顕著で、どの娘のルートもここ1番の盛り上がりを迎える前にエンディング。もっと強い印象を与えるエピソードが幾つか欲しかった。秀逸な出来のルートもあるので、環境やら予算やらが厳しかったのかなあ、と。事実えみゅーは死亡してしまってるしな。

 自分的にイチオシはみつきルート。彼女は最も凄惨な過去の持ち主なのだが、その凄惨さがとつとつと彼女本人の口から、半ばカウンセリングの様に語られる。ここらの空気がとてもリアルで、その分、内容の残酷さにショックを受けた。この表現方法はとてもいいね。基本的に精神病三人娘のシナリオは出来が良く、反面、千夏や七菜子は健常者(?)な分、主人公が選択する必然性の説明が弱く、物語に引き込めないという現象が起きてる。攻略ヒロインは三人に絞って、そっちに注力した方が良かったかも。何気に主人公も心を病んでるしな(雨の日の墓参りを欠かさず4年続けるなんてマトモじゃねーw)。

 グラフィックはとてもしょぼい。塗りはベッタベタのアニメ塗りで配色センスは最悪だと思う。時々入るラフ絵は正にラフな線でお世辞にも綺麗とは言えない。システムもしょぼい。具体的にはインストールしても動かねー!とか、ムービー流れねー!とか(解決したけどさ)。さすが5年前のゲーム、ということで納得はしてるけどな。

 後、このゲームを語るのに欠かせないのが音楽。I'veですよお金かかってますよ。OPの「雨に歌う譚詩曲」はあまりにも有名だが、自分はBGMの素晴らしさに度肝を抜かれた。「雨に還る想い」はこの作品の顔とも言うべき存在。ゲーム内容を端的に表してもいるし、名曲です。

 ほろっと胸に来る切ない雰囲気を上手く表した作品。だが、テーマの表現が精神病や雨などの設定・小道具に終始してしまい、キャラたちの苦渋や悲哀に実体がない。そのため、せっかくのテーマがダイレクトに伝わってこないのだな。全ルートがみつきルート並みに練り込まれてればとんでもない怪作になったと思われるのに、残念。

《Written 2008.01.14》
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