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Qualtett!
『Qualtett! 』
3月17日、音楽祭のファイナルとして開催される『マグノリア・カルテット・コンクール』。この伝統あるコンクールでは全国から選ばれた24組96名の若者たちが腕を競い、優勝者には音楽界における大きな名誉と成功への切符が約束される…。
若者たちは、それぞれの夢や願いを胸にコンクールを目指す。
時にはぶつかり合い、悩みながらも、彼と彼女は、音楽から生まれたほんの小さな絆を信じて──。
『私達は、私達の演奏を!』
(パッケージ裏より引用)


総合:C− シナリオ:D− キャラ:D CG:A エロ:D 音楽:C+ システム:A

あらすじ:
祖父のヴァイオリン工房を手伝う青年、フィル・ユンハース(主人公)はクリスマス・ミサでのヴァイオリン演奏の腕を買われ、名門・マグノリア音楽院で学ぶこととなる。そこで彼は、メンバーを一人失ったカルテットに急遽、穴埋め要員として迎えられるのだが、勝気な第一ヴァイオリンのシャル、マイペースなヴィオラのユニ、寡黙でお茶目なチェロの李淑花(リ・スーファ)、とメンバーはみな個性派の曲者ばかり。カルテットのまとめ役として、フィルの多難な日々が幕を開ける……。

シナリオ:D−
路線としてはやや少女漫画寄りのほのぼの系。ストーリー運びは良くも悪くもキャラ達の心情がトリガーとなっており、結果、イベントの果たす役割が曖昧になったせいか、流れが予定調和的になってしまってる。“転”がないんだよね。心情がトリガーというのは女性に好かれそうではあるけれど……どうも話にメリハリが感じられなかった。
また、このタイプの話はキャラにどれだけ感情移入できるかが鍵だと思うんだが、FLOATING・FRAME・DIRECTOR(以下FFD)という独特のシステムのせいもあって、心情描写がまことにマンガ的。単純に“怒る”という描写だけ取ってもやたら大仰に感じられてしまい、うそ臭い。何だかネタっぽいんだよ。自分はあんまりマンガを読まない性質なので個人差なんだろうが、心情的にあまりのめりこめなかった。
文句ばかり書いたが、いわゆるほのぼの話にちゃんと仕上がっているし、ストーリーに破綻もないし、うまくまとまっているとは思う。だが、複数ルートの構成が織りなす妙とか、キャラが内包する矛盾とかを味わうのが好きな自分には、申し訳ないがこーゆーノリは合わなかったっス。

キャラ:D
主人公が加わるカルテットはクラリサ先生によると「院内屈指の曲者チーム」ならしいが、キャラ造形にはそれ程の個性は感じなかった。なんつーか、怒ってるのがシャル、てきとーに流すのがユニ、みたいに個性の味付けが単純なんだよね。やっぱマンガ的というか。特に、怒りっぽいキャラ付けのシャルは前述の通り“怒り”がさっぱり伝わってこなくてなあ。彼女はメインヒロインなだけに、ボリュームの薄い本作で最も濃い描写がされている──はずなんだけど、せっかく焦りや苛立ち、怒りを(それなりに)表現しても、さしたる根拠も無くそれが氷解してしまい、嘘っぽさに拍車をかけちゃってる。何とか特異さを出せてたのはスーファかなあ。それも設定のお陰なんだけどね。
逆にサブキャラはテキスト的な影響もさほど無く、絵の表現力の高さもあってなかなかキャラが良く立ってた。リーナやシニーナ、メイなんかはいい味を出してた。メイルートが無いのは惜しまれる。

CG:A
枚数は180枚。シナリオやキャラ立ちが悲惨なことになっている分(?)、絵の表現力はすんげえ突出している。いわゆる萌え絵ではなく、判子絵の存在なんぞ許さないってな個性絵だが、描き分けやポーズ付け、表情の演技などに圧倒的な力量を感じた。テキストより絵でキャラが立ってると言っても過言じゃない。ユニ・メイの双子は表情だけで見分けられるしな。
塗りがまためっちゃ上手い。大槍絵でこの塗り以外は考えられんね、正直。
背景もOK、OK。小洒落た西欧の雰囲気が良く出てる。キャラ絵、背景ともにFFDの特性上とんでもない枚数を要したみたいだけど、それが本作の最大の魅力となっているのも事実。まー、オーヤリズムが鼻につきまくるのは別としてなw てかホント、バタ臭い絵だ罠。

エロ:D
回想は16枠(非エロ含む)。基本的にヒロイン一人につき2回のHシーン、サブキャラ二人にそれぞれ1回のHシーンがある。エロ絵数枚をなめるようなカメラワークで見せ、吹き出しと枠内のテキストを読ませる仕組みになってるが、エロとFFDとの相性は良くも無く悪くも無く、まーいいんじゃね? てな程度。特別エロいわけではない。てか大槍絵のさだめではあるが、もうどうしようもなくペド。巨乳なはずのスーファでさえ、あの小ぶりなお尻じゃなあ。
……好きな人にはいいんじゃない? ペドどころか炉属性さえ無い自分にはコメントつける資格も無いんだと思うよ、たぶん。

音楽:C+
BGMは39曲、ヴォーカルはOP1曲、ED3曲、合計4曲。BGMには6曲のクラシック曲を含む。弦楽四重奏の個所は生演奏とのことで、曲数も多いしエロゲにしては贅沢な作りと言えよう。ただ、曲数の割に同じ曲ばかりが流れた印象がある(特にエロシーン)。要は作品のテーマ上、曲数を割く必要があったってことなんだろうな。
曲の出来自体は悪くない。ほのぼのした本作の雰囲気に合った明るめの曲調が多く、ヴォーカル曲はこっぱずかしい程の甘々メロディ。全体的にクラシックっぽくしてるのも統一感があっていい。
だがしかし、フィルたちカルテットが取り組む課題曲(SetPiece)は1Versionしかないのだ。つまり同じデータの曲が劇中で何度も流れ、「こんな演奏じゃダメだ」とか「まとまってきた」とか言ってストーリーが進むわけで、個人的にスゲー変だと思った。だって演奏変わって無いじゃん。なぜ上手Versionと下手Versionを収録しなかったんだろうか。音楽には力を入れたみたいだし、もうちょい配慮が欲しかったな。

システム:A
前述の通りFFD採用。LittleWitchの独自システムだが、パッチは出てないし動作も安定している。具体的には、マンガのごとく各キャラの顔近くに表示される吹き出し内にテキストが表示され、その吹き出しが消えてはまた別の個所に次々と表示されるようになっている。画面構成もマンガのコマ割りのように様々なアングルでキャラが描き出され、標準的なADVの固定フレームとはまるで臨場感が違う。それに、何と言っても読みやすかった。ボリューム薄と言われる本作だけど、読みやすいがために短時間で量を読みこなせちゃうのもその一因になってるかも。
欠点としては先に述べた通り、描写がマンガっぽくなってしまうことやかなりの枚数の絵が必要となること、CVをつけるのが難しいことだろうか。だが、こんなプレイ感のゲームは正直貴重だと思う。
システム画面はとても綺麗にデザインされていてオーヤリズム本領発揮。Galleryのバックがランダムで変わるのも何かいい。こういうちょっとした工夫、自分は好きだなあ。

総合:C−
正確に測った訳ではないが、本作のコンプには半日を要さなかった。プレイ感は正にマンガをぱらぱらっとめくった、みたいな感じ。プレイ時間が短いということはそれだけ印象に残りにくいわけで、話自体はまとまってるのだけれど、それだけに尚更。加えて、ストーリーにもあんまり起伏が無いし……洪水のような絵の情報とちょっと変わったシステム、というのが一番記憶に残っている。
LittleWitchにとって、良い絵と好システムは大きなアドバンテージだけど、シナリオの強化が急務なのも否めない。自分としては、もちっと賢そうなキャラ造形の大槍ガールを見てみたいというのが本音(失礼!)。後は、オーヤリズムをもう少し引っ込めてくれれば言うことないんだが……あり得ない罠。

《Written 2006.10.23》
文責:◆PinkCH/F76 mail:memphis@s5.xrea.com