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好き好き大好き!
『好き好き大好き!』
倒錯する主人公の愛と狂気…
「やっと、ボクの夢がかなったんだ。ボクの好きなゴムの衣装に身を包んだ、ボクの大好きな女の子。誰にも渡さない。誰にも触れさせない。絶対、誰にも触らせるものか。」
「蒲乃菜は、ボクだけの蒲乃菜なんだ…。」
一人の少女を愛しすぎたが故に、彼女を自宅の地下室に監禁してしまった男は、ラバーマスクで目隠しをされ、視力まで失ってしまったおびえる少女に宣言した。
──何もしない。ただ、傍にいて欲しいと。
ひたすら彼女に優しく接し、その愛を得ようとする男と、怯え、絶望し、狂気へと駆り立てられていく無力な少女。たった一人の少女にのみ向けられた男の盲愛に、彼を取り巻く少女達は気づかない。
男を慕い、一途に愛情を寄せてくる大学の後輩。木更津みるく。十数年振りに再開した幼なじみ、藤堂莉果。従妹の莉果を愛するあまり、主人公に辛く当たり、憎悪してしまうスポーツ少女、天童瑠花。心理学を研究する美女、須玉ゆかりは常に謎めいた微笑みを浮かべ、男の疑心暗鬼を誘う。
一人の少女を監禁し、それ故に誰も信じられなくなってしまった男と、彼を取り巻く少女達の物語です。
(パッケージ裏より引用)

シナリオ:C
目立たない大学生、長瀬渡はいつも電車で見かける少女、蒲乃菜(ほのな)に恋をした。その想いをもてあました渡は彼女の誘拐を試みる。気を失った蒲乃菜が目を覚ますと、 そこは物音一つしない地下室。そして彼女は目も鼻も口も、それどころか全身を異様な ラバースーツで覆われていたのだ……。
これは自分と他人との断絶のストーリーだろう。「(ラバーの素敵さは)きっとわかっ てもらえる」から始まり「今はダメでもそのうちわかるようになるだろう」、「どうし てわからないのだろう?」へと移り変わっていく。この「素敵さへの感動」の他人との 共有が断じてあり得ないということは、オタクなら痛いほど知っているだろう。それを シナリオがどう落とすのか興味津々だったのだが、どのENDもおとぎ話めいてしまっ ていて食い足りなかった。狂気を前面に押し出すより、個人的にはもっと他人を他人ら しく描いて欲しかったな。唯一、みるくの「きもちわる〜い☆」って台詞はキタ(゚∀゚)!! のだが。……みるくに言われてもなあ。

キャラ:D
各ヒロインには物語中で演じる記号が割り振られていて、ただひたすらその記号に忠実 に動いている感じ。例えて言えば、狼さん=悪、赤ずきん=搾取される民、みたいな。 よって人間くささとか親近感とかは一切感じなかった。
どのヒロインも、主人公の思惑通りに動くことがないのはギャルゲ(エロゲ)としては 新鮮ではあった。ただ、どの娘も人間に見えないから、いい仲になっても嬉しくないし 強姦しても憐憫もわかない。少なくとも、きちんとした技量を持ったライターだとは思 うのに、どうしてこんなキャラ造形したのか不思議。
(どうも開発が突貫工事だったらしいけど、そのせい?)

CG:C−
枚数は83枚。ちょっと人を選ぶ絵柄ではあるが、こういうカルトゲーにはぴったりなの ではないかな。まあ、もうちょっと可愛く描いてやれYO!みたいな娘が約1名いたの は否めないが。
塗りはまあまあなんだけど、配色がキツ過ぎる気がした。ゲームの雰囲気からすると、 もうちょい抑え目な方が良かったような。背景は綺麗で良いね。枚数は……なぜ例の娘 さんのCG枚数が一番多いんですかい、旦那?

エロ:C+
回想は7枠。主人公が妄想厨。妄想で補完している面が多々ある。てか狂気混じりの妄想 なので、ここらへんはさっぱり使えなかったが。
ラバーについては、自分はラバリストじゃないから萌えはしなかったけど、フェチの魅力 は充分伝わってきた。テキストもねちっこくやってくれるし、思いのほか頑張っている という感じ。皮肉にも(?)ヒロインが人形然としてるのがフェチっぽさに拍車をかけ ている。あとはCGのロリロリさがもうちょっと何とかなってればBをつけられるのだ が。まあ、ここらへんは自分の好みか。

音楽:C
全8曲。全曲アコースティックギター1本というチャレンジャーっぷり。作品のカラーを 明確に打ち出すという意味で、この試みは成功していると思う。弦楽器の打ち込みなの で、ちょい単調に聞こえてしまうのがスンゲーもったいない。これで全曲生演奏なら神 だったんだけど、そうも行かなかったんだろうね。個人的には「Inspire」が好きだな。 言うまでもないがVocal曲はなし。声はパートボイス。蒲乃菜の中の人はゲームの雰囲気 を掴んでる。なかなか良い。

システム:C
画面全体にテキストが羅列される形式でありながら、履歴表示機能がないのが痛い。 古いゲームだし、まあ仕方ないとは思うが。
動作は安定してるし、音楽モードは凝ってるし、今時のゲームに見習って欲しいところ もある。文字速度の設定機能も目で見てわかりやすいのが良いね。
Windows2000なので、お馴染みのCD丸ごとコピーでインスコした。プレイ感に特に問題なし。

総合:C−
電波ゲーとしては期待はずれだった。てか全然電波じゃないじゃん。すげー生々しい。 しかし、純愛ゲーとして見ても、あまりに幼児性が強すぎて自分としては違和感。
一言で言えば妄想ゲー、かな。ゲーム内で現実として語られてる内容さえ、主人公の妄想に見えてくる、そんなゲームでした。その妄想世界に魂ごとダイビングしてしまえれば 電波ゲーとして楽しめたのかもしれん。自分はそういう人じゃないみたいで(第三者的 な視点でプレイするので)、ちょっと損したかも。

《Written 2005.09.04》
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